小さくて飼育スペースが狭くても大丈夫であること、飼育が容易で成長が早いこと、人間と近い特徴があることなどから、メダカに関する研究は古くから広く行われています。
メダカが生物学的・生理学的な実験材料として有用であることが示されています。
この記事では、メダカについて書かれた論文を紹介します。あなたの飼育や繁殖、新しい品種を作る際のヒントになれば幸いです。
虹色素胞による青い光沢を有するメダカの体色変異体
幹之メダカの特徴といえばもちろん光るような美しい背中の色ですが、それは虹色素胞という色素細胞によるものです。
この論文(短報)では、幹之メダカの体表の微細構造に関する研究結果について述べられています。
幹之メダカは、背中から尾びれにかけて青い金属光沢を有する変異体であり、その原因は、体表の反射小板を持つ虹色素胞によるものとされています。
野生型のメダカの真皮層には、反射小板を多数含む黄色素胞が分布していることが明らかになりました。
之メダカには黒色素胞も存在している可能性があり、青い体色の形成に関与している可能性が指摘されました。
虹色素胞にはグアニンからなる板状の結晶(反射小板)があり、野生型と幹之メダカでは反射小板の形態の差は無いようです。
しかし反射小板の配列については、野生型では不規則な配列であるのに対し、幹之メダカではほとんどすべての反射小板が体表面に平行な、規則的な配列でした。
従って、反射小板の規則的な配列にともなう微細構造が、幹之メダカ独特の青色の構造色を形成していることが示唆された。といった内容です。
色素胞については以前の記事で詳しく紹介していますのでぜひご覧ください。

暗黒に対するメダカの黒色素胞反応
メダカは透明な容器に入れておくと白っぽい色になり、黒い容器に入れておくと黒っぽい色になる「保護色」という機能があることが知られています。
これらの色の変化は、色素細胞である色素胞の運動活動と、細胞内の色素の移動によるものです。
暗闇でメダカを飼育すると、黒色素胞内でのメラノソーム(メラニン色素を貯蔵する細胞小器官)の凝集が起こります。
この反応は約24時間で均等になり、中間の色調は、光の背景反応とは時間経過において異なります。
メダカの眼球を摘出したり、下垂体を摘出したり、松果体を摘出した場合は、この暗闇への反応に影響を与えませんでした。
脊髄部分切除や交感神経摘出を施された魚は、暗闇に反応せず、暗闇で暗くなったままでした。
ジベナミン処理された動物は、暗闇で薄くなることはありませんでした。
これらの結果から、交感神経が暗闇への反応において主要な役割を果たすことが示唆されます。
“楊貴妃メダカ” におけるカロテノイド について
幹之メダカと並び、いまの品種改良メダカの代表格ともいえる楊貴妃メダカ。
この論文は、楊貴妃メダカとヒメダカを比較してどのような共通点と違いがあるのかを述べています。
楊貴妃メダカとヒメダカ、どちらの鱗にも黒色素胞は認められませんでした。
黄色素胞内に含まれる色素顆粒(色を呈する色素胞内の細胞小器官)については、楊貴妃メダカはヒメダカよりも赤色に近い色彩でした。
さらに、楊貴妃メダカの体内に含まれるアスタキサンチン(サーモンやカニに見られる赤色を呈する色素)の量はヒメダカの10倍も高かったそうです。
つまり、楊貴妃メダカは黄色素胞に赤色を呈するアスタキサンチンを多く蓄積できる性質を持っていると考えられます。
また、楊貴妃メダカの赤色は背鰭、臀鰭、尾鰭のふちに濃く現れることが知られていますが、これらは野生型のミナミメダカの黄色素胞の多い部位と同じだそうです。
楊貴妃メダカの赤色はアスタキサンチンを多く含む餌を与えることでさらに強くなることが書かれています。
愛知県の水路から得られたヒカリメダカ等の観賞魚メダカ
2020年9月〜10月に愛知県犬山市の水路で初めてヒカリメダカが野外で発見されたことを報告しています。
採集地点は3つのコンクリート三面護岸水路であり、それぞれ異なる水田の間を流れていた。
観賞用のメダカの体型はヒカリメダカ、ダルマメダカ、ヒカリダルマメダカの3つの体型があります。
品種改良されたメダカを誰かが放流し、それらが水路で生き残っていることが発覚してしまいました。
メダカの飼育放棄(放流)問題は私たちメダカ飼育者全員がしっかり問題点を認識しなければなりません。
品種改良されたメダカを野外に放流すると、そのメダカが野生のメダカと交配して、遺伝子の入れ替わりが起こります。
野生メダカの持つ適応力や遺伝的多様性が失われ、生態系に悪影響を与えることが懸念されます。
また、野外に放流されたメダカが外来種として定着すると、地域の生物多様性や生態系のバランスを崩すことになるため、放流は絶対にやめましょう。
論文は一定の説得力がある情報が得られるツール
メダカにまつわる情報は科学的根拠に乏しいものもあり、特にインターネットで得られる飼育方法などについては信憑性が怪しいものもあります。
論文は、科学的な手法に基づいて検証された情報を提供する貴重なツールであり、一定の説得力を持っています。
今回紹介した論文は全て無料でアクセス可能ですので、ぜひみなさまのメダカライフに役立ててみてください。
一方で、論文には限界や問題点も存在します。論文は、一つの研究課題に焦点を当てているため、その範囲内でしか説得力を持ちません。
メダカはさまざまな分野で広く研究されているため、詳しい論文もたくさん存在します。調べたいことがあったら、論文にあたってみるのも一つの手です。
