メダカの飼育方法や図鑑などを読んでいると、「尻びれ」や「腹びれ」という言葉がよく使われます。
皆さんはメダカのヒレの名前、きちんとわかりますか?品種改良に取り組む際や論文を読む際には、ヒレの名前を理解しておくことは非常に重要です。
メダカをはじめとする魚類はさまざまなヒレを持っています。
魚類のヒレは、種類によっては泳ぎやバランスを保つために使われるだけでなく、擬態やディスプレイ(他の個体へのアピール)の役割も果たしています。
この記事では、メダカのヒレに関する情報をお届けし、論文が読めるようになるよう英語名も合わせてご紹介します。
背びれ(背鰭) – Dorsal Fin(s)

メダカの背びれの位置
背鰭(せびれ、はいき)は魚類の背中側に位置しているヒレです。バランスと方向制御に役立ちます。
英語ではDorsal Fin、ドーサルフィンと読みます。
背びれは一つだけの場合もありますが、多くの魚では2つの背びれがあることが一般的です。
背びれが二つある場合、頭に近い方から第一背びれ、第二背びれと呼ばれます。
メダカの背びれは1つだけですね。他の魚と比較するとかなり後方に位置しています。
魚の背鰭は硬い棘の棘条(きょくじょう)と軟条(なんじょう)という2種類の棘を含むことがあります。棘条は硬くて鋭い棘で、軟条は柔らかい棘というか線です。
後述しますが、メダカのオスは背びれと尻びれを使ってメスを包み込むようにして交尾します。背びれや尻びれが欠損していたりする個体では無精卵率が上がることがあるといわれています。
また、背びれはオスとメスの見分け方にも使うことができます。
オスの背びれはメスと比較して少し細長く、付け根あたりに切れ込みが入っているのが特徴です。メスは丸っぽい三角形をしています。
腹びれ(腹鰭) – Pelvic Fins、Ventral Fins

メダカの腹びれの位置
腹鰭(はらびれ、ふくき)は魚類の腹部、通常は胸鰭の後ろに位置しています。
腹びれは英語でPelvic Fins(ペルヴィックフィン)、またはVentral Fins(ヴェントラルフィン)と呼びます。
これらのヒレは、バランスを保つためのアンカーのような役割を果たし、また、精密な動きを行うためにも使用されます。
メダカの腹びれはメスのほうが少しだけ大きく、オスは小ぶりです。ただし比較しないとわかりづらいくらいの大きさの違いですので、オスメスの見分け方に使うのは少し難しいかもしれません。
調子の悪いメダカはそれぞれのヒレをぴたっと閉じていることがあります。腹びれが観察できなかったら、調子が悪くないか確認しましょう。
胸びれ(胸鰭) – Pectoral Fins

メダカの胸びれの位置
胸鰭(むなびれ、きょうき)は魚類の両側に位置し、ブレーキの役割や方向転換、姿勢維持に使われるとされています。
胸びれは英語でPectoral Fins(ペクトラルフィン)と呼びます。
実は、メダカの胸びれは体のサイズから考えるとけっこう大きいです。
ヒレ長メダカの中には、遺伝的に胸びれも大きく伸張する品種があります。
熱帯魚の一種でベタという魚には、胸びれが大きくなるように品種改良された「ダンボ」と呼ばれる品種があります。
今後の品種改良で、メダカにもダンボのように胸びれの大きく広がった品種が登場するかもしれませんね。
尾びれ(尾鰭) – Caudal Fin

メダカの尾びれの位置
尾鰭は魚類の尾の部分に位置し、泳ぎの推進力や機動性に大きく関与しています。尾鰭の形状は、魚類の種類や生息環境によって異なります。
尾びれは英語でCaudal Fin(コーダルフィン)と呼ばれます。
魚のヒレは種類によって非常に変異に富んでおり、例えば長距離を素早く泳ぐマグロなら、水の抵抗を受けにくい薄く硬い半月状の形に、メダカのように細かく精密な動きをする種類なら三角形やうちわのような形をしています。
メダカの尾びれの後端(いちばんうしろ)は直線状になっています。この点で、形態が似ている外来種であるカダヤシと比較することができます。
カダヤシについては以下の記事で詳しく紹介しています。

尻びれ(臀鰭) – Anal Fin

メダカの尻びれ
臀鰭(以下、尻びれ)は魚類の下部、尾鰭の前に位置しており、主にバランスと方向安定の役割を果たします。これにより、魚類はより安定した泳ぎができます。
尻びれは英語でAnai Fin(エイナルフィン)と呼びます。
尻びれでオスメスの違いがわかる

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メダカにとっては交尾に関わる非常に重要なヒレです。メダカの尻びれはオスとメスで明らかに形状が異なります。
オスは尻びれが大きく、平行四辺形に近い形状です。一方メスは尻びれが小さく三角形に近い形状をしています。
メダカのオスは交尾の際に背びれと尻びれを使ってメスを包み込むようにして交尾します。
交尾の際にはオスの尾びれにある乳頭状突起と呼ばれる部位がメスの産卵を促す刺激となることが知られています。
また、メダカのオスがメスに対して求愛を行う際にも、尻びれをピンと広げてアピールします。
オス同士が行う威嚇行動(フィンスプレッディング)でも尻びれを大きく広げて強さをアピールします。
メダカの学名も、この大きな尻びれから名付けられたといわれています。
メダカの学名には「大きなヒレを持つ」という意味も
メダカの学名「Oryzias latipes」は、ラテン語に由来する言葉で、それぞれの単語が特定の意味を持っています。
Oryzias:この言葉は、「オリザ」というギリシャ語の言葉から来ていると言われています。
オリザは、米や稲を意味する言葉です。メダカが田んぼや水田などの米作りに関連する環境で生息することを表しています。
latipes:この言葉はラテン語で、「幅広い足」を意味します。
これはおそらく、オスのメダカの尻びれが大きく広がっていて、足のような役割を果たすことを指しています。
何気なく見ているメダカの尻びれや胸びれですが、たとえば近い環境に暮らす特定外来生物であるカダヤシと比較すると非常に大きいことがわかります。
メダカのオスの尻びれは、交尾の際にメスを包み込むようにして使われます。また、尻びれにある乳頭状突起といわれる部位でメスを刺激し、それにより産卵を促すことが知られています。
日本語では、メダカの学名「Oryzias latipes」を「オリジアス・ラティペス」と読みます。この名前は、メダカが自然界でどのような環境に生息しているかや、ヒレの特徴を表現しています。